「私が死んだら骨は夫の隣に置いてくださいね」
お子さまやご親戚との付き合いもない檀家のおばあちゃんがそう仰られたのは、
ご主人をお見送りしてこの永代供養墓にお骨を安置した時でした。
ご主人の供養にご自宅に数年間はお伺いしていたのですが・・・。
徐々に体が弱くなり、もう一人では生活できないという事で4,5年前に施設へと入所されました。
「私達夫婦は残念ながら、子どもには恵まれませんでした。
駆け落ち同然で結婚したから親戚付き合いもあまり無くなってしまったんです。
けれどもね、その分夫婦で仲良く生きてきました。
だからね、先に逝ってしまった主人はすごく寂しがってると思います。
死んでからも一緒がいい。お骨を同じ場所、隣に入れてくださいね。」
その言葉とお顔を時折思い出しながら、元気にされているかな?
と気になっていましたら、今月の上旬、おばあちゃんが数年前に契約し、身元保証人になられた
「えにしの会」の方より「お亡くなりになられました」と連絡がありました。
「ついにご主人のもとへ旅立たれたのか・・・」
大晦日の夜、歩いてお寺までお参りに来ていただいたこと。
色んな思い出話をお聞きしたこと。
犬と一緒に仲良く暮らしていらっしゃった事。
寂しく思いながらも・・・。
きっとご主人と再会できることを楽しみしていらっしゃるだろうな・・・。
そう思いながら・・・
えにしの会の方と一緒にお通夜、葬儀を済ませ、ご主人の隣へと納骨しました。
この永代供養塔は十年前にお墓を管理する人がいらっしゃらない方々のために建設しました。
五十年間。法事や供養等、責任をもってお寺がお骨を管理致します。
その後は「合祀」します。
この永代供養塔には・・・
妙法蓮華経譬喩品第三の一節が書いてあります。
「仏教の門を持って三界の苦、恐畏の険道を出てて 涅槃の楽を得る」
仏様の教えによって、色んな苦しみ、恐しさ、怖さ満ちた世界から出でて、涅槃という究極の安楽を手にすることができる。
という意味です。
お釈迦様の下で、愛する人と一緒に、ずっと一緒に・・・。
どうか穏やかに過ごされてくださいね。