私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のやうに、
地面(じべた)を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のやうに、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
これは明治36年生まれ、大正末期にすぐれた作品を発表し、26歳という若さでこの世を去った金子みすずさんという童謡詩人の方の詩です。
みんなちがって、みんないい。
法華経の方便品第二には「諸法実相」という教えが説かれています。「この世の中で、あらゆるものすべてが真実のことを示すために存在している。世の中にあるものはすべて理由があって、みな存在している。世の中に不必要なものなどない。」という教えです。
私たちは何かとすぐないものねだりして、人を羨んだり、優越感を感じたり、メディアでは盛んに勝ち組、負け組だの揶揄したりして誰かと比べあっています。そんな私たちにお釈迦さまは、「そんな価値観を持つのはやめなさい。この世に存在しているものはすべてそのままで、そのままが素晴らしいのだよ・・・」とおっしゃっているのです。
つまりは、みんなちがってるし、そこがいいんじゃないかってことですね。
よく子どものころ「OOちゃんのお家だってOOちゃんのお家だってゲーム買ってもらったんだって~!いいな~うちもいいでしょ。買ってよ~」と言うと「よそはよそ、うちはうちでしょ。」と言って母親にたしなめられていました。子どもの頃はすごく理不尽に感じていたこのやり取り、今思えば、あながち間違いではないのかもしれません。
私たちが何かを判断する時に使用する自らの価値観・・・。それは本当に正しいものでしょうか?
この金子みすずさんの詩と方便品第二を読むと
狭い世間の価値観で良し悪しを判断して流されてはいけないよ。価値観をもっと幅広く持ちなさい。もっと大きな視野で物事を見なさい。
こんな声が聞こえてきそうです。 義専