セミの声も近くに感じられるようになってきました。

もうすぐ夏ですね

夏といえばお寺は「お盆」

一年で一番忙しい期間が始まります。

さて、昨年のお盆中の出来事です

 

朝からお盆の棚経のお参りに行き、夕方くらいに帰宅し、休んでいたところ一本の電話がかかってきました。

「すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが・・・」

お電話の相手は福岡にある訪問看護施設の職員さん。

 

一人暮らしで高齢、身寄りもなく、最近では認知症がひどくなってきた利用者のおばあちゃんが突然

「お盆だからお墓参りに行きたい!どうしても今年行きたい!」

と言い出されたそうです。

 

昔住んでいた場所は荒尾とのこと、

「荒尾にいけばお墓の場所はわかるから・・・なんとか連れて行ってほしい・・・」

利用者さんの切な願いに職員さんは、

「もしかすると、来年はもう行けないかもしれないから・・・元気なうちに願いをかなえてあげたい」

 

そんな想いで西鉄電車に乗られ、西鉄大牟田駅からタクシーで荒尾まで来られ、記憶を頼りに荒尾の市役所周辺の墓地を色々と探し回ったそうですが・・やはり、墓地の場所は見つからず・・・・

 

「子どもの頃、南無妙法蓮華経だった・・・」

という言葉を頼りに南無妙法蓮華経なら日蓮宗かと荒尾の日蓮宗のお寺ということで当寺に電話してこられたのでした。

過去帳を調べますが、わかるのはその方の名字のみ・・・。

どうにもこうにも調べようもなく・・・うちのお檀家さんかは不明でした

 

しかし、話をお伺いしているうちに、これも何かのご縁だと思い、待ち合わせをしてお迎えにあがりました。

 

市役所の近くか・・・そういえば市役所の裏に納骨堂と墓地があったなぁ・・・

 

と思い出しました。

この場所は入口が分かりづらく、隠れているのでもしかしたら見落とされたのかも・・・。

 

車を停めて、歩き細い道を進んでいくと、おばあちゃんの顔がパァーっと明るくなりました。

 

「ここよ!!ここ!ここ!!」

 

墓地の中に入り、一つのお墓に向かって一直線で小走りに駆け寄られました。

 

「OOちゃん、本当に・・・本当にお久しぶりねぇ・・・。ようやく・・・ようやく会えました」

 

涙を流しながらお墓に手をあて、しばらくの間じっと目をつぶり、

 

お墓に向かってお話をされていました・・。

 

お墓に水をかけ、タオルで吹きあげ、お墓の周りの雑草を抜いて・・・

お供え物をあげて線香を立てて一緒にお参りをしました。

 

「わたしもそのうち行くからね・・・OOちゃん。まっていてね・・・」

 

お墓参りも終わり、車で大牟田駅までお送りし、

 

「本当にありがとうございました」

 

にこっと笑われて、職員さんに寄り添われ大変満足気に帰って行かれました。

 

「お墓」というのは「再会の場所」であり、「心のよりどころ」なのだなぁ・・。

と改めて感じさせられた出来事でした。

 

お墓はご自身の先祖代々脈々と受け継がれてきた血の流れを感じる場所でもありますね

 

もうすぐ夏休み、田舎に帰省される方々も沢山いらっしゃるかと思います。

 

どうぞ、その際にはお墓参りに行かれてください

目を閉じてじっと手を合わせると・・・・

きっと・・・再会を嬉しく思われた縁のある方々が喜ばれ、色んなことを心の中に語りかけてくださることかと思います