長い梅雨が明けると急に暑さが厳しくなり、今年はいつもより熱中症で倒れる方が大変多くいらっしゃるそうです。

皆様お元気に過ごされているでしょうか?さて、この暑い季節になると、暑さが煩わしく感じられますが、もう一つ夏特有の煩わしいものがあります。夜中に寝ているとどこからともなく耳元で「ブーン・・・」と出てきて安眠を邪魔され、「捕まえた」と思ったら逃げられ・・・。また、忘れたころに「ブーン・・・」と出てきて「あぁ、もう!」こんな感じで寝不足になられた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

夏にはつきものの生き物「蚊」です。刺されると痒くなりますし、寝ていると耳触り、なんだか嫌われものの存在に思われる「蚊」ですが、子どもの歌にこんな歌があるのをご存じですか?

 「ちびっかぶーん」

ちびっかぶーんはちっちゃな蚊
下水のお水がふるさとで

ちびっかぶーんのきょうだいは
三千三百三十人

 ちびっかぶーんはやさしい蚊
人を刺すのがイヤだった
ちびっかブーンははらぺこで
いつまでたってもチビだった

 ちびっかぶーんに花達が
朝露お飲みと言ったけど
ちびっかぶーんを蝶々が
あっちへおゆきと追い出した

 ちびっかぶーんは秋の朝
寒さに凍えて死んでいた
ちびっかぶーんを神様は
ちっちゃなちっちゃな星にした

ちっちゃなちっちゃな星にした

この歌詞を見ると、なんだか今迄「蚊」に持っていた、いやーな印象も変わってしまいそうですね・・・。

保育士をしてた頃に、この歌を劇にして子ども達と一緒に演じたところ子ども達もこの歌が「すーっ」と心の中に響いてきたようで「ちびっかぶーんは優しいね~。ちびっかぶーんみたいな優しい蚊もいるのかな~でもちょっと可愛そうだね。」なんて子ども達の中で会話されていました。

人を傷つけるのが嫌だから、自分が傷ついてしまう。現代の社会においてこの「ちびっかぶーん」のように優しい人ほど社会から他人から傷つけられているのが現状かもしれません。心の病を患った方を看護する施設で働く職員の方がこのようなことを仰っていたのを覚えています。「この施設に入所していらっしゃる方は、皆さんとても心が優しい方なんです。優しい方ほど人の痛みに敏感で正直なんです、だからこそ人を信じ、傷いて、この社会でうまく調和がとれずに自分をどんどん追い詰めて傷ついていってしまうんです・・・」

人を心から信じるというのは何よりも難しいことです。「いつか自分も裏切られて傷ついてしまうことがあるかもしれない」という、不信感が必ず誰しもあるからです、心から人を大切にする優しい心があっても人を信じるということは難しいかもしれません。

何があっても人を心の底から信じた生き方の見本として、法華経の中に常不軽菩薩という方のお話が出てきます、常不軽菩薩は人間の中にこそ仏を見出だし、人間が持つ善の心を礼拝され、出会う人出会う人に礼拝する行を続けられました。人々は見も知らぬ者に拝まれる筋合いはない、とばかりに腹を立て、中には杖木で打とうとしたり、石を投げる人もいました。しかし、その人に対しても掌を合わせ、礼拝し、大きな声で「私はあなた方を尊敬します、決して軽蔑するようなことはしません。なぜなら、あなたがたはいずれ仏になるのですから」と呼びかけ続けました。この礼拝行を続け、自分の死期が近づいた時に如来の導きによって六根(目・耳・鼻・舌・身・意)が清らかになりやがてこのうえない悟りを得てついに仏となったのです。

このように、心の底から人を信じ、人の中に住む仏さまを信じることができた時、自分の中の仏さまも目をさまし、仏の道へと一歩近づいているのではないでしょうか?