いつもは「暑さ寒さも彼岸まで」というのが恒例の御挨拶なのですが、彼岸を待たずに今年は暑さも穏やかになりました。今年も秋の彼岸の時期がやってまいりました。お彼岸の期間は亡くなった方々、ご先祖様を偲ぶ期間ですが仏道修行に励む期間でもあります。

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1952年公開の喜劇王チャールズ・チャップリンの映画「ライムライト」でこんなセリフがありました。

「意味を求めたって始まらないよ、人生は欲望だ。意味などどうでもいい」

確かに、私達の人生「欲望」だらけですね。あれも欲しい、これもしたい。

欲望があるからこそ物事は発展していき、生活は豊かになっていくものです。

この欲望をどう抑えていくかが実は仏道修行の最大のテーマなのです。イソップ物語にこんなお話があります。

 

肉をくわえたイヌが、橋を渡っていました

ふと下を見ると、川の中にも肉をくわえたイヌがいます。

イヌはそれを見て、あいつの肉の方が、大きそうだな・・・と思いました。

そう思ってしまうとイヌは、くやしくてたまりません。

「そうだ!あいつをおどかして、あの肉を取ってやろう 」

そうひらめいたイヌは、川の中のイヌに向かって思いっきり吠えました。

「ウゥー、ワン!!」

そのとたん、くわえていた肉はポチャンと川の中に落ちてしまいました。

「クゥーン・・・・」  

川の中には、がっかりしたイヌの顔がうつっています。さっきの川の中のイヌは、水にうつった自分の顔だったのです。

 

人もまた同じではないですか?人のものは良く見え、欲を出すと結局損をしてしまいますね。 

京都の竜安寺におかれている、茶室に入る時に手を洗い清める「つくばい」にはこんな言葉が書かれています

「吾唯足知(吾れ唯足ることを知る)」

そのまま読めば「私はただ足ることを知っている」、噛み砕いて言うならば、満足することを知っている人は「もっと!もっと!」という物質的な満足を求めないでも幸せに暮らすことができる。という意味だそうです。

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妙法蓮華経普賢菩薩勧発品という妙法蓮華経第二十八番目のお経の中に、

「是の人は三毒に悩まされじ、亦嫉妬、我慢、邪慢、増上慢に悩まされじ、是の人は少欲知足にして能く普賢の行を修せん』という一語が出てきます。

法華経を信じ、読誦し書写する人は、心が質素、正直で、欲深く物を欲しがる「むさぼりの心」や自己中心的な心で怒る「いかりの心」、道理がわからず暗闇を迷ってしまうような心に悩まされることはありませんよ。ましてや嫉妬やねたみなど他人を羨んだりして苦しむことはありません。「少欲知足」を実践することができるんだよ。と書いてあります。

「少欲知足」とは文字通り欲を少なくすることで「知足」とは、「私はもうこれで十分です、こと足りました」と知ることを言います。

もっと、もっと、と欲望を膨らますのではなく、欲望の火を消してもうこれで十分だ、これくらいにしておこうという心を持つことです。

ものに溢れて、欲望を無駄に掻き立てる社会に踊らされず、流されずきちんと自分を持って生きること。

そのことによって欲は少し小さくなります

「欲が小さくなる」と心がその分満たされ易くなります。何でもない、日常の中のちょっとした幸せな事でも「ありがとう」、「ありがたい」と感謝できるようになります。

26日までのお彼岸の期間、どうぞこの「少欲知足」でもってすごされてください。

なかなか難しいなぁ~と思われるお方!!

当山では

9月23日 11:00~

秋季彼岸施餓鬼供養 を執り行います。

仏様のお力が皆様をきっとお導きくださいます。是非お寺にお参りに来られてくださいね