暑さ寒さも彼岸まで、今年も寒い寒いと言いながら本日より、お彼岸の季節がやってまいりました。当山でも3月21日 春季彼岸施餓鬼供養を11:00より執り行います。さて、皆さんがお彼岸やお盆、お会式の時の法要時に卒塔婆(そとうば)を申し込まれます。さて、卒塔婆とは一体何でしょうか?何のためにたてるのでしょうか?

卒塔婆とは、元々お釈迦様の御遺骨を供養するために立てた建物、サンスクリット語の stûpa(ストゥーパ)という言葉が言語で、中国で卒都婆という字があてられました。その後、それは塔を意味することから都婆が塔婆とも書かれるようになりました。塔婆には、各地の大きなお寺で見られる五重の塔や五輪の塔、また、墓地に立てる大きな板塔婆、施餓鬼供養などで御宝前に立てる簡易な木製の板塔婆があります。どの塔婆も五つの形から成り立っており、これは仏教では宇宙が地・水・火・風・空から成り立っており、人間はこの五つによって生かされていると考えられて、それぞれを下から地(四角)・水(円)・火(三角)・風(半円)・空(宝珠)の形にして現したものです。

現在の日本では、一般的にこの卒塔婆に追善供養のために文字を書き、おの脇に立てたり、お寺の御宝前に立てて先祖や故人の供養をします。これは、近代になって行われてきたものではなく、昔から行われてきた追善供養の形でした。

日蓮大聖人が佐渡流罪の最中に幼い娘を亡くし、夫婦で信徒になった中興入道と呼ばれる方がいらっしゃいました。佐渡流罪を解かれ、身延山に入られた日蓮大聖人に娘の十三回忌をお願いするために、中興入道は妻に送られ身延へと向かいました。無事に十三回忌の追善供養も終わり、日蓮大聖人は中興入道の妻にこんな手紙を出しました。

「あなたがた夫婦は、法華経を信じ、この日蓮を養ってくれた。しかも、わが娘の仏事を営み、亡き父母にも孝養を尽くされた。あなたは、これからも、正面に南無妙法蓮華経と書き表わした丈六の卒塔婆を建てて幼い子に供養なさるがよい。この卒塔婆は北風が吹けば、南の海にいる魚たちがそのお題目の風に触れて大海の苦しみから脱し、東風が吹き来たればその反対の西山の鳥や鹿がその風に身を触れて畜生道という苦しい世界を免れて天上界に生まれることができるのである。まして、卒塔婆に随喜をし、手を触れ眼で見る人達の功徳は尊い。現世には寿命を延ばし、死後には父母らと共に霊前浄土に参ることはいうまでもない」

卒塔婆を立てるということには、このような功徳があると日蓮大聖人も仰っております。彼岸やお盆は、亡くなった方の世界とこちらの世界が近くなる期間です。想う方のために南無妙法蓮華経と書いた卒塔婆を立てて追善供養をし、また再会できる日を楽しみに功徳を積まれてください。卒塔婆のお申し込みは当日でもお受けいたします。お誘い合わせの上、お参りください。