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熊日新聞平成9年6月25日の新聞の記事です。アメリカに寄宿農場学校グリーンチムニーズという場所があり、そこでは心が傷ついた子どもたちが動物と寄り添う事で心を癒していく、傷ついた動物を助け、動物のお世話を通しながら、子ども達は少しだけど「自分も世界を助けられる」という気持ちを持つようになる。動物は子供を守る、人間のように虐待したりしないんだ・・・・

高校生の頃読んだこの記事が心に深く残り、ずっと机の中にしまっていました。

先日、お檀家さんのところで聞いたお話です。

ハナという大きな犬がいました。

性格が乱暴で、体も大きかったので飼い主を転々としてとある夫婦の元へとやってきて、そこで面倒をみてもらっていたのですが、散歩中に寄ってきた子犬を噛んで怪我させてしまいました。

御夫婦も随分悩まれて散歩も大変だし、やはりこれ以上は面倒見切れないと周囲の目もあり保健所にいくことになりました。

しかし、奥さんのお姉さんが「私が面倒をみるから、絶対保健所には連れて行かないで」

と家でハナを引き取ることになり、その日から、お姉さんは御主人に先立たれ一人暮らしでしたので、毎日毎日ハナと色んなお話をしたり、徐々に絆は深まっていきました。

しかし、また散歩中に寄ってきた子犬を怪我させてしまい、裁判沙汰になってしまったそうです。

お姉さんは相手に何度も何度も謝り続けて慰謝料をお渡して、また保健所にというお話もでましたが、「きちんと私がみますから・・・」とようやく許してもらいました。

何故お姉さんがそこまでハナことをかばうのか?

それはハナが子犬の頃人間の飼い主に虐待されて大きくなったという過去があったからでした。

転々と飼い主が変わっていく中で人間のことを信頼できなくなってしまったのです。

「この子がこんな性格になってしまったのは人間のせいだから、きちんと人間が最後まで面倒をみてあげなきゃならない・・・」そんな想いでいっぱいだったそうです。

ハナとお姉さんの生活が一日一日と過ぎて行きました、あれほど乱暴だった性格もすっかり落ち着いてきました。

そんなある日お姉さんが体の具合が悪くなり自宅から救急車で病院に運ばれました。救急車に乗る時に不安そうに見つめてくるハナに

「ハナ、ちゃんとお利口にまっていてね」

と声をかけて救急車に乗り、そのまま入院となりました。

その数日後そのままお亡くなりになったそうです。

不憫に思った妹さん夫妻はハナを引き取ってあげようとお姉さんの自宅に行きましたが、ハナはその場を動きません。仕方ないのでご飯はハナの元へと運びます。

「ハナ、お姉ちゃんはいなくなってしまったのよ、うちにおいで」

と声をいつもかけるのですが、頑として動かないのです。

「きっと、姉の言葉を胸に誰もいなくなった家を守っているんですね・・・」

涙を流しながら妹さんはそうおっしゃったそうです。

 

今でもその家でハナは待ち続けているそうです・・・・。

動物を飼った人はわかると思いますが、動物は人間みたいに言葉は発することができない代わりに全身を使って想いを伝えてくれます。そしていつも傍にいてくれて黙って人間が発する言葉を聞いてそっと傍にいてくれます。信頼関係が出来た時、芯から人間の事を信頼してくれます。裏切ることもありません。

ハナの事を心より大切にしたお姉さんの気持ちと一心に飼い主の事を想うハナのその姿・・・私達に大切な何かを教えてくれているようでなりません。