笑顔の効能

| ちょっとしたお話 |

最近、もうすぐ9カ月になる娘が早くも、夜遊びするようになってしまいまして・・・。

深夜みんなが寝静まった頃、ゴソゴソという物音で目を覚ますと布団から這い出しておもちゃを取り出して遊ぼうとしている・・・・。

「何しよっと~」と言うと、したり顔でにやぁぁぁぁ~と笑う。

「もう寝るよ~」と言うと、にたぁぁ~と笑いながら首をブンブンブン。

その笑顔に負けて「全く、しょうがないなぁ~」

はぁ~、笑顔に負けてしまった・・・。と思いながら一緒に遊んで一緒に笑うとその時は眠気も吹き飛びますが結局寝不足・・・。子どもの笑顔というのは不思議なものです。

 ついこの前ショッピングセンターに買物に行った時の話です、レジの横のベンチに独りで寂しそうに座っていたおじいちゃんのとこへ、近くに座っていた親子連れのまだよちよち歩きの男の子が近寄っていきました。そして、おじいちゃんに向かってニコっと笑ったんです。そうすると、そのおじいちゃんも自然にニコっと笑い、男の子は手を振り、おじいちゃんも手を振る。ただそれだけのことだったのですが、独り寂しそうに座っていたおじいちゃんは、幸せそうな顔をして「バイバ~イ」と男の子に手を振りながら帰っていかれました。

 子どもの笑顔は見ている私たちを幸せにしてくれます。元気がない時は元気をくれたり、イライラしている心を和ませてくれたり、心と体の疲れも子どもの笑顔を見るとどこかへ吹き飛んでしまいます。この子のために頑張ろうと思うなら、人は辛いことも耐えたりすることもできるんですね。

 しかしですよ、よくよく考えてみてください。私達大人は生まれながら大人という訳ではないんですね。もちろん、子どもの頃があったわけでして、私達が子どもから幸せな気持ちをもらってるのと同じように自分も誰かを幸せな気持ちにしてきたわけなのです。ということを考えると、必ずどんな人にも、人を幸せにする力というのは平等にあるはずなのです。

 法華経の中にこんなお話が出てきます。

 ある人が親友の家に行って、酒に酔い潰れて寝てしまいました。親友はどうしても行かなければならない用事があり、酔いつぶれて寝込んでしまった友人の衣服の裏に、値のつけようのない宝珠を縫い付けて出かけたのです。ところが、その人は酔いつぶれて寝込んでしまっていたから、親友のそうした行動には全く気がつかなかったのです。彼はその後目覚めて起き上がると、あちこち巡り、他国に至り、衣食のためにたいへん苦労し、生活も困窮していました、「まぁ、自分の生活はこんなものだろう。」と満足していました。その後、親友は彼と再会し、彼の様子を見てこう語ったのです。

 「友よ、君はどうして衣食のためにこのようなひどい状態になってしまったのだ。私は昔、君が安楽になれるように、あらゆる欲求を満たしてあげようと、値のつけようもない立派な宝珠を衣服の裏に縫い付けていたではないか。それは現に今もあるんだよ。それなのに、君はそれを知らないで、あいかわらず苦労して憂い悩んでいるが、それはとても愚かなことだ。君はこの宝珠を必要なものと換えることができるんだから、そうしなさい。そうすれば、常に想い通りになり、何不自由なく過ごすことができるのだから。」

 このお話は、五百人弟子授記品というお経の中で、お釈迦様の五百人のお弟子たちがお釈迦様から「授記」といいまして、あなたは将来仏になれるんだよという証明を受け、お弟子達は「値のつけようもない立派な宝珠」つまり、自分もお釈迦さまと同じように仏になれるんだという可能性を自分らも知らない間にお釈迦様から頂いていたのか。ということに気付いた喜びを例え話にしたものなのです。この仏になれる可能性のことは、「仏性」と呼びます。

 ここで出てくる親友はお釈迦様、そして酒に酔い潰れた男は五百人の弟子であり、同時に現代、五百人の弟子たちと同じように、こうしてお釈迦様の教えに触れている私達のことでもあるのです。私達は気付かないけれども、人間として生まれてきたその時からお釈迦さまから「値のつけようもない立派な宝珠」、つまり仏性を頂いて生まれてきているのです。

 「仏性」だれしも生まれながらに仏になる可能性を皆持って生まれてきたのだよ、と一言で言いましても、何か漠然としていてわかりにくいですね。簡単に言いますと、仏様というのはどんな人にも手を差し伸べてその人を幸せにする力を持たれています。 

 子どもの頃に持っていた私たちに平等に与えられたどんな人をも誰であろうと幸せにする笑顔の力、この笑顔の力こそが仏さまから私達が与えられた「値のつけようもない立派な宝珠」であり、「仏性」であると思うのです。

 そうは言っても、子どもの頃の笑顔と今の自分の笑顔は違うしな・・・・と思われる方もいらっしゃるでしょう、しかし、笑顔というのは見ている人も自分も元気に幸せにさせる効能があるんです。辛い時や腹が立った時、どうぞ何も考えず童心に戻って笑ってみてください。笑うというのは医学的に精神的にも肉体的にも良い効果が働くそうです。

 その笑顔の中には必ず仏様から頂いた立派な宝珠があり、傍には仏様がいらっしゃるはずです。

 お釈迦様は人が人を幸せにする力を誰もが持っていることに気づきなさいよ。と常に説かれておられるのです。

 自分には仏様から頂いた「仏性」が備わっているんだと胸を張って毎日を笑顔で自分の仏性を呼び起こしてそして、自分が笑顔になることによって相手も笑顔にして相手の「仏性」も呼び覚まして安穏に毎日を楽しく生きていきましょう。