田島征三 さんの 「とべバッタ」 という絵本ご存じですか?
小さな茂みの中に一匹のバッタが住んでいました。
その茂みにはカエルやカマキリ、クモや鳥などバッタを食べてしまおうと狙っている者たちがいました。
だからバッタは毎日毎日 びくびく怯えながら生きていました。
しかし、バッタはある日こんな所でおびえながら生きていくのがつくづく嫌になりました。
バッタはある日決意します。
大きな石のてっぺんでゆうゆうと日向ぼっこを始めたのです。
そんなことをすればすぐに敵に見つかって食べられてしまうことはわかっていました。
けれどもバッタはそうしたのです。
案の定敵に見つかってしまい食べられそうになるバッタ。
その時、バッタは死に物狂いで飛びました。高く高く、何よりも高く・・。
高く昇りつめたバッタでしたが、下へ下へと落ちていきます。
下では落ちてくるバッタを待ち構えている敵達・・・。
その時バッタは自分の背中についている四枚の羽根に気づきました。
今まで一度も使ったことのない四枚の羽根・・・
夢中でその四枚の羽根をばたつかせバッタは浮き上がりました。
バッタは空を飛んでいきます。
トンボが「なんだいあのみっともない飛び方!」
チョウが「まぁおかしな飛び方」
と言って馬鹿にして笑います。
しかしバッタはなんと言われようと平気でした。
自分の力で飛べることが嬉しくて嬉しくて・・・。
バッタは飛びました。自分の行きたい方へ高く、高く風にのってはるか彼方へ・・・。
何気に子どもの病院で読んだ絵本でしたが、非常に心に残りました。
もう駄目だ!というその瞬間にバッタは自分の持つかけがえのない宝物に気づいたのです。
そして、誰かにそれを馬鹿にされても自分らしく誇りを捨てることなく進んでゆく・・・。
「気づく」というのはお経の中でも非常に重要視されます。
お釈迦さまは「私は常におなたの側にいます。あなたをよりよい方へ教え導こうとしていますよ、あなたが気づかないだけなのです。そして、あなたは私と同じように仏になれる大切なものをお持ちなんですよ!!そのことに、お気づきなさい。」と何度も気づくことの大切さが説かれます。
あたふたしてしまってどうしようもない時、追い込まれた時、冷静になってもう一度しっかりと自分自身を見つめなおしてみると、自分の持っていた人脈だったり、経験であったり、能力であったり、改めて新しい自分の部分が見えてくるものです。
馬鹿にされても笑われても・・・大切に続けていけば必ず成果はでてくるものだと思います。
壁に当たった時こそ、大切な何かに「気づく」チャンス。ですね。