5月28日 19:00~ 第二回目の荒尾仏教塾が開催されました。今回のテーマは「写経」です。
私達が普段読んでおります「お経」というのはお釈迦様が我々衆生を死への恐怖、愛欲や煩悩という苦しみから何とかして救いたいと色々な状況や場面に応じた手立てをお説きになられた説法なのです。
お釈迦様がお弟子達に説かれたその説法が、お釈迦様が亡くなられた後お弟子達によって「お釈迦様はこうおっしゃっていたよ」と、まだ文字が発達していなかったため、口伝えによって広まっていきました。そして、ある時にその教えを文字にしてまとめようという動きが教団の中で始まりお釈迦様の説かれた教えがお弟子達によって文字に記録され、それが「お経」になったのです。そしてその教えが漢訳されて中国に伝わり、そして日本に伝わってきました。仏教を広めるためには、印刷技術が発達していなかった当時、経典を書き写してそれを伝えていく以外に方法がなく、これが写経の始まりと考えらています。
私達が信仰しております法華経の中には、写経の功徳について、こんなお話が出てきます。
「妙法蓮華経法師功徳品第十九」より
「若し善男子・善女人是の法華経を受持し、若しは読み若しは誦し、若しは解説し、若しは書写せん。是の人は当に八百の眼の功徳・千二百の耳の功徳・八百の鼻の功徳・千二百の舌の功徳・八百の身の功徳・千二百の意の功徳を得べし。是の功徳を以て六根を荘厳して皆清浄ならしめん」
法師というのは仏様の教えを信じ、ひろめて実行していく人のことです、何もお坊さんだけに限ったことではありません。法華経を信じる皆さんがこの法師なのです。
「人々が法華経を信じて心にしっかりと保つこと(受持)、そして声に出して読むこと(読)、暗誦すること(誦)、経文を解釈して人に説くこと(解説)、写経をすること(書写)の五つの種類の法師の行、すなわち五種法師行に努力したものは、眼・耳・鼻・舌・身・意の六根が清浄になり素晴らしい功徳が備わるのだよ」という意味です。
六根が清浄になる。よく六根清浄という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?この六根とは眼・耳・鼻・舌・身・意の六種の感覚器官であり、これらは私達衆生に煩悩を起こさせる根源であると考えられています。なので、その迷いを断つことを「六根清浄」と言います。
以前テレビで他宗のお坊様がお山に登るときに、「懺悔懺悔 六根清浄」と節をつけて唱えながら登っていらっしゃるのを拝見しました。山というのは聖なる場所であり、古来より人々は聖なる場所に登ることにより自分の罪障を懺悔して六根を清浄にしようとしてきました。
法華経では、先ほど述べました五つの種類の行に努力精進することによって六根が清浄になると説かれているのです。それはどういうことかと言いますと、清浄になるというのは仏さまになるということです。この身このままで仏様に近づくということなのです。浄土に行って仏さまになるのも一つの手段ですが、今生きているこの世界こそを、一人ひとりが法華経の教えに沿って六根を清浄にして仏になり、一人一人がお釈迦さまから何らかの意思をもって使わされたこの世界こそを、浄土の世界に変えていこうではないか!!というのが法華経の教えなのです。
写経はこの五種法師行の一つです。心を静め集中する時間を作ることはこの現代社会では、あえて環境と時間を作らないと難しいものですが、写経をするとその時間自分が無になれ自分とむきあうことができます、また、この仏教塾で写経を致しますので是非ご参加してみてください。
来月6月28日は 「お経についてのお話」です。 普段皆様が馴染みがあるお経を解説していきます。19:00~御参加お待ちしております。