(一月八日 正月大祈祷会 水行式)
今年は厄年に当たり、お祓いを受ける方もいらっしゃると思います。今回は厄年についてちょっとお話します。
まず、厄年は数え年で計算します。この数え年というのは、生まれた時を一歳として、元日が来るたびに一歳プラスするという数え方です。ですから、元日から誕生日前日までの数え年の計算は 満年齢プラス二 誕生日から十二月三十一日までの数え年の計算は 満年齢プラス一 をすることになります。これは仏教などの母親のお腹の中にいる時も人間は生きているという考え方により十月十日も年齢に加算されたものです。
厄年とはもともと平安時代の陰陽道の考えに基づいて広まったもので、災難や不幸に出会う事が多いとされる男女の年齢を指します。厄年は一般的には数え年で男子が二十五歳、四十二歳、六十一歳、女子が十九歳、三十三歳、三十七歳、(六十一歳)とされています。特に男の四十二歳は「死に」、女の三十三歳は「散々」に通じるということで、一生の中でも大厄とされ、厄年の前年の前厄、厄年の後半のはね厄と合わせて前後三年間続くとされます。
日蓮聖人は、日眼女という信徒にあてた手紙の中で、「そもそも厄というのは、たとえば人のつぎふし(関節)のようなものである。風は正面から吹けば弱く感じ、角から吹けば強く感じる。病も同じで肉より起これば治しやすいし、間接の部分から起これば治しがたい。(略)ふし(関節)の病をよく治せば寿命は長くなります」と説かれています。
確かに、厄年の頃の年齢というのは人生のつぎふし(関節)、特に大事な節目の時期と言えるでしょう。一般的に男女ともこの年齢になると、体調の面でも、精神的な面でも、または社会的役割の点でも大きな変化が出やすいようです。
さらに、厄年について日蓮聖人は、厄の年、災難を払ってくれる秘法こそ法華経である。たのもしいことである、たのもしいことである。なぜならば、法華経を持つ者はお釈迦様の子どもであるので仏をはじめ諸天善神も皆守ってくれること間違いない「当年の大厄をば日蓮に任せ給へ」とも仰られています。(太田左衛門尉御返事)
人は生きてく中で様々な縁によって生かされています。この縁が良いものなら問題ありません、しかし、悪いものがたまに入ってくる、厄年というのは、人生のつぎふしの時期、この大切な時期に悪い縁が入ってきたなら、大変なことになります。なので、この悪い縁を未然に防ぎ、そしてもし入って来ても大難は小難に、小難は無難にと法華経の功徳をもってお祓いするのが厄年の厄払いと言われるものなのです。
義専
参考文献 「常に悲観を懐いて」 著 星 光喩