先日、新しく家を建てられる方からご依頼がありまして地鎮祭を執り行わせていただきました。神社の神主さんがよく地鎮祭を執り行っていらっしゃるのをお見かけします、「地鎮祭や厄払いなどは神社、お寺はお葬式」と思っていらっしゃる方も案外いらっしゃいますが、実はお寺でもご祈祷を行っているお寺ならば厄払いや地鎮祭など、執り行っております。
「家を新しく購入する」ということは人生においてそう何度も経験することではありません。
これから住まわれる家族の方々、その子孫の方々までも、幸せに楽しくいつまでも暮らせますように・・・
皆さんのそんな願いを込めながら執り行います。
「ちいさなおうち」という絵本をご存知ですか?
むかし、田舎の静かなところに、「私達のまごのまごの、そのまた、まごのときまでこの家はきっと立派に建っていますように」という願いを込めた綺麗な丈夫な家が作られました。
家は住む人たちを温かく見守りながら木々や動物たちと自然の四季の変化を楽しみながら過ぎゆく時代を穏やかに見つめていました。しかし、時は流れ周囲の環境は段々変化していきます、田舎には道路ができ、車が走り、ビルが建ち、駅ができて田舎は都会へと変貌していきます。そんな騒がしい街の中で家はポツンと住む人もなく寂しく屋根も壁もボロボロになって建っていました、
ある時そんな家に一人の女性が通りかかります。その人はこの家を建てた人の子孫だったのです。自分の先祖が大切に建てた家がこんな状態で可哀想に思った女の人は大工さんに頼んでその家の壁と屋根を建てられた時と同じように直してあげて、建てられた時と同じような景色の田舎に戻してあげます。家には、また人が住んで面倒を見てくれるようになり、家はとても幸せに暮らしました。
家には色んな人の想いがこもって、色んな人たちの手によって出来上がります。出来上がった家は住人達や周囲の歴史を温かく見つめながらその場所で変わらず時間を刻んでいきます。
昔から家には、土地の神や、家の神、台所(竈)の神や厠(トイレ)の神など色々な神様が祀られていました。その神様方に家族が安穏に過ごせるように護っていただいていたのです。だからこそ、最初に「どうぞよろしくお願いします。この先、家族の方々を護ってください」と地鎮祭や家祈祷を行うのです。
家には家族だけでなく、様々な方々の想いや出来事がこもっており、見守ってくださる神さまがいらっしゃいます、なので人と同じように想いを持つことでしょう。
家は善い時も悪い時もどんな時でもいつでも変わらず私達を見守って私達の帰る場所となってくれます。自分だけでなく子ども達また、その次の代にも受け継がれていく大切な財産です。大切にしていきたいものですね。