あけまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。一年明けて本年は2013年へび年です。振り返ってみると一年早いものです。よくお檀家さん方と「毎年毎年一年経つのが早く感じるようになりましたねぇ。」とお話します。
確かに、子どもの頃はあんなに一日が長くて色んな事があったのになぁ・・。
そんな風に感じることもよくあります。考えてみますと、子どもの頃は山へ海へと自然や友達と遊ぶ中で毎日何か新しい事を学んだり発見したりと、日々の生活に新鮮さがありました。大人になるにつれて物事は単調な生活になり、何か新しい発見や学んだりすることも少なくなっていきます。物事に新鮮さがなくなると日々の暮らしというものは何気に単調に過ぎ去っていくものです。
毎日何か一つでも学んだり、発見したりすることがあれば、一日一日、充実したものになっていくのかもしれませんね。
さて、昨年はたくさん著名な方々がお亡くなりになられました。先月、五七歳の若さでお亡くなりになられた、歌舞伎俳優の中村勘三郎さんのお話です、古典の歌舞伎から、常に新しいものへと挑戦していかれ、歌舞伎界に新しい風を吹き込まれた勘三郎さんはある時に、テレビのインタビューで「勘三郎さん、あなたは歌舞伎界きっての型破りと言われていますがこれに対して何かご感想は?」と聞かれましたら「いやぁ~、光栄ですね。型破りというのは型を極めていないと破ることができない、型をしっかりと極めて、型を破ることができたから今があるんですよ」と仰られたそうです。
型を極めるということは基本をしっかり極めるということです。
これは何事にもあてはまりますね。基本をしっかり極めるということはできるようでできないものです。基本は退屈ですし、型にはまってしまうと楽しくないし、他人受けもしないものです。しかし型ができているからこその型破りになれますから、最初から応用を行っていたのではただの型なしになってしまいます。
仏教のもっとも基本的な根本的な教えに「七仏通戒偈」という言葉があります。
諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教
「悪いことをせず、善いことを行いなさい、それが自分の心を清浄にする、これが仏さまの教えです」
「悪い事をしない、善いことを行いなさい」これらは最も単純な教えですが肝心なのは次の言葉です。
「それが自分の心を清らかにする」何かを行った時、その行為には自分の心がついてきます。自分がどんなに善い事をやったとしてもその心にやましい心があればダメなのです。やましい心とはどういう心でしょうか?それは自分本位の心です。つまりは、誰かが見て、褒めてくれるから、評価してくれるから、損得や自分の利益とかそんなものを勘定にいれずに相手の事をおもい善い事を行う、これが自分の心を清らかにするのです。それが仏教であり、仏さまの教えなのです。
基本的な事ですが、私達の暮らしにとても大切な事です。逆にいうならば、損得だけで人間の行為が行われたり、「誰も見ていないからいいや」という考えが蔓延ってしまう世の中ならばとても恐ろしい世の中です。
行いにこそ、その人の心が現れる。そのことをしっかり心に保ちながら日々の暮らしを生きていきたいものです。